有限会社 丸正建設

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新潟風土記

新潟風土記

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2014.05.06

「 パッシブデザイン 」

パッシブデザインとは、特別な機械装置を使わずに、建物や材料などの工法によって熱や空気の流れを制御し、快適な室内環境作りだす建築の設計手法のことをいいます。ご存知の方も多いでしょう。
具体的には日差しを入れない工夫(上の写真がそうです。)や、通風計画、太陽熱を利用した集熱や蓄熱、断熱計画が主にあります。
元々はアメリカで提唱された考えで、最初は「外部の環境に開かれた」というぐらいの意味で使われていました。高エネルギーの石油使って暑さや寒さを力で抑え込むのではなく、太陽エネルギーをはじめとする自然エネルギーを巧みに使おうというものです。
私の住むここ新潟は早い人は10月から4月くらいまで暖房を使います。夏は蒸し暑い日が続く時期があります。
この気候の中で、夏は涼しく、冬は暖かい家をつくるにはどうしたらいいかをパッシブデザインの観点から考えてみました。
はじめはドイツやカナダのように断熱材を厚くし、木製サッシや熱交換の効率の高い換気システムを使った家を参考にしようとしました。
しかし、緯度が違います。新潟はN37 カナダはN43~ ドイツはN50と新潟より北にあります。そして、夏の気候も違うはず。
また、建設費も結構かかるようです。
プランにおいてと一体となる大きな開口部は外すことはできず、冬の日は熱が逃げていく大きな要素となります。
現在温熱環境も数字化できるようになりました。自宅の性能も大きな開口部を配慮しても平均外皮熱還流率は0.53、熱損失係数も1.8と
国の基準はクリアーするものの、経験上不安でした。(この数値の意味は興味ある方は調べてみてください。)
そこで、考えたのは屋根集熱を利用した次世代ソーラーシステ「そよ風」でした。

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春や秋の天気のいい日は集熱した空気を床下に送ります。夏は高温になる屋根の熱を排出します。装置を増やせばお湯も作ることができます。新潟の冬は日照が期待できないので、暖房(今回は薪ストーブを採用)の熱を循環運転してくれます。基礎はべた基礎、基礎断熱にしなければいけません。
屋根は集熱しやすいように通気層を取ります。そして、床には吹き出し口のガラリを各所に設けます。空気を送るにはファンを使います。
装置を使うからパッシブではないと思われるかもしれません。しかし、空気を間違いなくコントロールするには強制的に動かす方法しかありません。自然の力で補うことができなければ、その不足分を機械に頼るという考えです。

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屋根の集熱を考えて建物向きや勾配を考えます。

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4月26日の夜10時 リモコンを見ると外気温度は10度、室内温度19度ありました。
目指すのは家のどこにいても温度差が少ない家です。そうすることで、間取りの自由、つまり、リビング階段や吹き抜けがあっても寒くなく、大きな開口部を取り、外部のつながりを積極的にとることが可能になると思います。
温熱環境もしっかり考えないと夏は2階が暑いとか、冬は足元がすうすうして寒かったり、結露してカーテンにカビが生えたといったような家ができてしまします。

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家づくりで大切なのはバランスです。自然素材をつかったから、そよ風をつかったから、外断熱仕様にしたからだいい家になるとは限りません。これらはあくまでも家づくりの一つの要素でしかありません。
でも家づくりにおいて一番大切なのは、打ち合わせを楽しめて、要望や希望を理解してくれるパートナー(設計事務所や工務店でしっかりした知識を持っている方)と会うことでしょう。