今朝は外気温がマイナス1℃になっていました。でも自宅のリビングは16℃をキープしたままです。
一般の方で家を建てた住まい手が書かれた本を読みました。国産材を使うことは国民の義務ではないか!なんていう言葉もあり、そのとおりだと感心しました。すぐ近くで学生向けのアパートが建設中です。2×6の材料を使ったパネル工法で、建て始めて1週間もしないうちにサッシが付き始めました。とても効率はよい仕事ではあると思います。使われている材料は輸入材。これから日本の林業について書きます。せめて家だけでも国産材を使うという意味をご理解いただければ幸いです。
2009年の林業産出額は4122億円で、前年比7.3%減(2011年版「森林・林業白書」より。)でした。ところがこの額には「栽培きのこ類の生産」が半分以上含まれていて、純粋な「木材総生産額」は1861億円となっています。1980年のピーク時には9674億円でしたから、実に5分の1以下に激減していますのが現状です。これに対して林業経営対数は約14万。しかもその多くが保有山林面積10ヘクタール未満の家族経営なので、「育林」のコストが高く、極端に収益性が低下しています。20ヘクタール以上を保有する林業所得はたったの10万円。月額ではなく年間の収益です。これは前年から19万円減、壊滅的な数字といってもオーバーでないかもしれません。
ではなぜ、日本の林業はこのような事態に陥ってしまったのでしょう。まず、挙げられるのは、急崚な山々が連なる日本独特の地形に起因する生産性の低さです。比較的緩やかな傾斜地が多く、機械化・集約化が進んでいる欧米に比べ、地形が複雑な日本では林道の整備もままらなず、1人1日当りの生産量は北欧の30㎥/人日に対し、日本は3~4㎥/人日。生産性がほぼ10分の1しかありません。条件が違うので一概には言えませんが、この差はコストに転化され、スウェーデンやフィンランドでの伐出コストは約10ユーロ/㎥、急斜面が多いオーストリアでも12~30ユーロ/㎥程度に対して、日本では1ユーロ=100円換算で70~110ユーロ/㎥と4~6倍のコストの差がついてしまうのです。
結果、国内で伐採された木材よりも、はるばる海の向こうから運ばれてきた外材の方が安価となり、木材自給率は27.8%(2009年)にとどまっています。近年、外材の価格上昇によって自給率は回復傾向にあるようですが、それでも毎年自然に生育していく木の量に比べて、伐採される量の方が断然少なく、統計上は毎年8000万㎥づつ増えていることになります。家1件あたりの平均材木使用量は25㎥といわれていますから320万件分にあたります。日本の森は「伐採すれば赤字になる」という理由から、伐らなければ生態系に影響を及ぼす森林までもが、なすすべもなく放置されているのです。
間伐を怠り、密に植林したまま育成した森は、地表に日が射さず、根はやせ細り、ひとたび集中豪雨となれば大規模な地崩れを起こします。2011年の台風12号によって奈良・和歌山などで大規模な土砂災害が発生し、いくつもの川沿いの集落が濁流に飲み込まれていったニュース映像は記憶に新しいところではないでしょうか?
後継者問題も大きな問題です。いま日本では林業に従事している総人数は約4万7000(2005年)。うち26%が高齢社といいます。林野庁の取組みもあって、近年では新規就業者数が増えつつあるそうですが、林業が過酷な仕事であることに変わりはありません。年間2千数百件の労災事故が起こり、約50人が尊い命を落としています。全産業の中で突出して事故の発生率が高い業種です。
産業の継続の為にはお金が産業に回るようにしなくてはいくつもの課題が解決しません。
林業に関係する流通や在庫、品質の問題など一般の方に届くまでの中でも課題が多くあります。
今回のお話はこれまでにしますが、日本の林業を守ることの大切をこれらも訴え続けていきます。