4月8日、9日と㈱環境創機、木よう連、新建ハウジング合同主催の建物見学とセミナーに行ってきました。
環境創機さんは当社モデルハウスでも採用している屋根空気集熱を利用したソーラーシステム「そよ風」を販売している会社、木よう連は木と太陽の陽、つまり自然を活かした家づくりに賛同している工務店のグループです。その環境創機さんの商品名から今回のツアーにそよ風セミナーという名前がついています。
場所は静岡県の浜松市。自動車メーカーのSUZUKIや楽器やモーターボードなどが有名なYAMAHAの本社を置く都市です。日照時間も長く、そよ風と同等のシステムであるOMソーラー協会の本部もあり、パッシブデザインが盛んな地域(正確にはパッシブに適した)でもあります。そのそよ風のシステムと取入れたお宅と建築家の設計した家の見学をさせて頂きました。
初日。1棟目は地元建設会社の造居さんが手掛けたお宅を拝見しました。
大きな片流れの屋根になんと10kw相当の太陽光発電パネルが乗っています。これは集熱換気システム「そよ風」と太陽光パネルを一体化した商品です。
この建物は週末に過ごす別荘として使われるそうです。ジャグジーとテレビのある大きな浴室、アイランド型の高級なキッチンが置いてあり、各個室はご家族各々が好きな内装を選んでカラフルな仕上げとなっていました。
次に向かったのは、地元浜松で活躍されている建築家 村松篤さん設計の個人宅でした。
築30年。村松さんが24歳の時に設計されたそうです。銅板の屋根に、漆喰仕上げの外壁でした。
内部は個人宅のためお見せできませんが、改修しつつも愛情をもって建て主が生活されている様子が伺えました。
お庭もとても綺麗でした。 わくわくするようなアプローチ。内部は自然素材を使っており、経年変化による味わい、光の明暗、適度な配置による収納、給湯器などがあるバックヤードも隠すように設計されている配慮。外部とのつながりなど、ちゃんとした設計はこうなるよというような見本となるお宅でした。村松さん自身は若いころの仕事で少し恥ずかしそうにしていらっしゃいましたが、自分と比較したらとてもとても才能の違いに私が恥ずかしい思いでした。
この日はホテルに集まり、村松さんと伊礼さんの講演を聞き、懇親会を行いました。
二日目。1件目は
入政建築さんのモデルハウスを見学しました。フォルクスハウスというプロダクト住宅の提案者である秋山東一さんが少し監修したそうです。
玄関は木製ドアで素敵な水色がアクセントになっていました。敷地の幅が約7m、奥行が約18mという条件の中、しっかり庭のスペースをとり、コンパクトにまとまっていました。小さなロフトなど遊び心もあるお宅でした。
2件目は伊礼さんの設計された2世帯のお宅です。横長の平屋に近い建物で、横に2世帯がつながっている間取りでした。2階は若世帯の子供と夫婦の寝室があります。
実は、このお宅は2012年の竣工当時にも見学させて頂いています。
それがその時の写真です。庭の植栽の感じが違いますね。
今回は住まい手であるご主人とそのお父様、お母様がいらっしゃいまして、実際の住んでみての感想を伺うことができました。このお宅は建て替えですが、配置を変えて建てています。ご主人の要望は家に帰るのが楽しみな家にしてほしいというぐらいだそうで、実際はその通りであり、また、昔の家は冬寒かったけど今は暖かくてともて満足しているとのことでした。お父様、お母様の元気な顔がとても印象的でした。
3件目はスローハンドさんの手掛けられた築2年のお宅でした。地面がもともと高く盛ってあるのですが、駐車場との境を植栽でカバーしているところが全体の印象がちがってくるなぁと感じました。内部はワンルームに近い間取りで、杉とペイントというシンプルな内装で仕上げてありました。
4件目は村松さんの手掛けた新しいお宅です。こちらも一つ大屋根で、南側正面に大きな開口を持ってきて、開放的なお宅でした。ダイニングとリビングを少しずらし、収納も見せてもよいものと隠したいものをうまく分散してあり、内装も稚内珪藻土を使い、ところどころにはお客様の好みにあわせた深い青緑のペンキを使われていて、設計者の思いやりとエゴがでていない素晴らしい建物でした。
そして最後は浜松市から車で1時間のところにある秋野不矩美術館を訪ねました。設計は東京大学教授もされている建築史家の藤森照信さん。わらを入れて仕上げた内装や長野県の鉄平石を使った屋根など。藤森ワールドと呼ばれる世界が広がっていました。秋野さんの絵も初めて見ました。とても感動したのでお土産にポスターを買いました。
と、充実した二日間。全国からたくさんの工務店の方が集まり、お話もできました。初めてお会いした建築家の秋山さん。とてもお茶目な方で楽しそうにしてました。そんな秋山さんが「しかし、みんな勉強好きだねぇ、ばかじゃないの~。」なんていつもの調子で笑いながらおっしゃっていました。そう、いつまでもバカでありたいと思って帰ってきました。