春らしい天候が続き、気持ちいいと感じる日は気分もよくなります。
少し前ですが、まだ肌寒かった4月12.13日と秋田県へ建築ツアーに参加してきました。
今回のツアーは板金メーカーの「タニタハウジング」と住宅専門雑誌「建築知識ビルダーズ」の共同開催でした。
見学場所はビルダーズさんが主催しているエコハウス大賞でみごと最優秀賞をとったモルクス建築社の佐藤社長の自宅と、タニタハウジングさんの秋田工場、ヨーロッパ型の高気密、高断熱を昔から提唱している西方さんの最近できたご自宅でした。
新潟からは車で約5時間半かかりました。(帰りは5時間少しきりました。約280kmの距離でした。)
まずは、佐藤様の自宅から。ガレージのある木造2階の建物です。外壁は杉を縦に張ってあります。
クールな感じだけどかわいい玄関。
リビングにはいると木製サッシを使った大開口があります。冬の日射が足らないときのために薪ストーブがあります。南側に開けたリビング、ダイニングが一つになった部屋はほぼ日射のみで家を暖める(熱を逃がさない)高断熱、高気密仕様になっています。これからあたたくなると家がオーバーヒートします。
それをオーダーの外付けブラインドで調整するのです。電動式で可動調整します。
庭からリビングを外からみたところです。
外観をみていると気になる黒い壁。この家はオフグリットに挑戦した家でもあります。聞きなれない言葉「オフグリット」1次エネルギー供給を社会から遮断し、自給するというものです。この黒い壁の正体はガラスの内部にある銅板を熱を集めやすいように黒く塗装したものです。しかも、配管をしているので、太陽の熱でお湯をつくる装置なのです。
作られたお湯はキッチン脇にある1000リットルのお湯をためることが出来るタンクに貯められます。他に太陽光パネルで電気とお湯、キッチンが薪を炊いて調理します。その熱もお湯にかえます。設備、配管については、専門の会社に依頼したとのこと。エコ住宅の先進国ドイツではこのような設備を設計している方が多くいるそうです。
内部に戻り、置いてある物や壁の石張りなど素敵なインテリアが多く観られました。間取り自体はシンプルな長方形で、2階に水廻りと寝室、個室、収納スペースがコンパクトにまとめられていました。
部屋に収納部分はなく、開口もいっぱいにとってあり、シンプルでした。
外側に付加断熱をしているため、サッシが引っ込んだ納まりになっておりこれもまたデザインになります。
佐藤さん曰く、ヨーロッパに視察にいかれ、自宅で調整してみようと思い、南側に大開口がとれるような場所を1年かかって探したということです。昨年5月に引っ越しし、11月と2月の太陽の日射が少ないときはテレビみるより、洗濯機を回す、そんな場面もあったそうです。住む家族にも理解が必要な住宅でした。
続いて、タニタハウジング 秋田工場の見学でした。建築物の外壁、雨樋などに使う材料を製造している工場で、当社では雨樋を使います。
これが様々な製品となる原料のガルバリウム鋼板のロール状になっているものです。ガルバリウム鋼板は55%アルミが混ざった鋼板で形成されているので非常に耐久性が高い板金です。
丸い雨樋の製造過程を見ることが出来ました。丸く加工するため一般的なガルバリウム鋼板より、柔らかいものを使っているそうです。
明けて翌日は西方さんのアトリエを訪れました。スタッフは公共建築物の担当も含め5人の事務所。木質にあふれた事務所でした。図面や資料が多いので、内部の写真はありません。
秋田でも青森県に近い能代にある西方さんの自邸です。完成したばかりで住んではいますが、しばらくはモデルハウス的な役目で使われるそうです
国内メーカーにはない断熱性能を持つドイツ製の分厚いアルミサッシが使われていました。南側の大開口。くもり空の気温は7度くらいの天候でしたが、朝から暖房なしで家中はどこの場所も20℃でした。通常の暖房は床下エアコン1台です。
天井の内装。
いわゆるエコハウス、パッシブハウスと呼ばれる本物の家を体感することが出来ました。ここまで性能値をあげることで得られる温熱環境はとていいことだと感じました。
ライニングコストは低くなる分、初期投資はずいぶん割増しとなります。そのあたりのバランスと提案の仕方が今後の課題となります。