久しぶりに雨が降りました。久しぶりに庭の水やりをやらなくてすむことでほっとし、少し涼しい気温で過ごしやすく少し夏を忘れたひとときでした。ちょっと工期が少ない現場があるため、今日からまた現場は動いています。
貴重な休みの中、映画「海街diary」を観ました。ヒットした映画なので、内容の紹介は省きます。
主人公の3人の姉妹と後から住むことになる妹の4人が住む家は、日本の家を象徴するような古い一軒家でした。
瓦の屋根に、木の建具、柱が見える真壁構造、障子、畳の部屋が隣同士のいわゆる田の字の間取りなど特徴は昔の実家を思い出しました。
姉の綾瀬はるかも夏は暑く、冬は寒いというセリフがあったように、我々日本人なら想像に難くないと思う環境の中での生活。
家の中央付近は日中でも暗い感じで、土壁の独特の経年変化と匂いを感じました。
舞台である鎌倉という場所と四季の移ろいが物語を通じて感じることができる作品でした。
そして、なんてたって縁側がありました。みんなで話したり、採った梅の実を親戚に分けたり、上の写真のように縁側を通して様々な場面がありました。
つまりこの縁側という装置がとても印象に残ったといいたいのです。縁側というと、家のじいちゃん、ばあちゃんが近所の人とお茶をしたり、天気がいい日は猫が昼寝をしているような牧歌的な風景が浮かびますが、今回の作品は家族のコミュニケーションの場が四季を通じて機能していると思いました。
今はあまり、縁側とは言わず、デッキという名前に代わり、家づくりでもよく見かけることはあります。もちろん、私もプランの際にはほぼ図面に書きます。でも半分は外、半分は中のようなこの空間になかなか、居場所を見いだすことは困難なのでしょうか?
敷地の大きさにもよるし、周りが建物で囲まれていたりとするとなかなか難しい事情もあります。でものこのような作品に会うと縁側はいいなぁと感じるのはやはり、日本人だからでしょうか?西洋の文化が入り、真似し、追い越せと言わんばかりの時代の流れから、ここ最近では自然素材の見直しととともに、日本の良さがまた見直されています。アパレル業界ではビームスが日本をイメージしたビルを建てました。フランスのアパレルブランド メゾンキツネも代官山にできた新しい店舗も日本をイメージした建物がオープンしました。
色々な文化の多様化で生まれる良さもありますが、私は流行に流されず、現代にあった日本の家しかつくりません。
建築家の吉村順三も家の形は1軒1軒そんなに違う必要もないと言っています。
住まい手の要望を取り入れた100%の家より、80~90%の人が素直にいいねと言ってくれる家の方が価値があると私は思っています。
その中にもちろん縁側もあったほうがいいとは思います。条件が許す限りは提案させてもらいますよ。
ストーリーと共に心が癒される作品でした。